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快適な窓選びのポイント

快適な窓のために工夫したい6つのポイントをご紹介

01

窓の断熱に関する診断

図は住宅の各部位から出入りする熱の量を比較したものですが、これからもわかるように、平均的な断熱仕様の住まいでは、夏に住まいの中へ侵入してくる熱の71%が窓からであり、冬に窓から逃げていく熱は48%にもなります。こうしたことから、住まいの省エネ性を考える上では窓の断熱性を上げることが最も重要であると言えます。

また住まいの省エネ性と同様に忘れてならないのが、室内の暖かさを肌で感じることのできる室内空間作りです。この肌で感じる室内空間の快適性評価には体感温度という指標を使います。体感温度は右に示した方法で簡単に求めることができます。まず、部屋の床、壁、天井の表面温度を測定し、この平均値を出します。 これを平均幅射温度といいますが、この平均幅射温度とその時の部屋の温度(温度計で測定した温度)を足して2で割ったものが体感温度です。体感温度が高いと、実際の快適感につながるだけではなく、省エネ性の向上にも大きく効果があります。

下の図をご覧ください。左は断熱性の高い住まい、右は低い住まいを表しています。まず、右の断熱性の低い家で体感温度を求めてみます。

床、壁、天井の表面温度を合計して平均幅射温度を求めると9℃となります。これに部屋の温度20℃を足して2で割ると14.5℃となり、これが室内にいる人が実際に感じている温度になります。室温が20℃であるにもかかわらず実際には寒さを感じますから、暖房器具の設定温度をさらに上げてエネルギー消費を増大させることになります。一方断熱性の良い左の住まいでも同じく体感温度を求めてみると、18℃となり、これは室内の温度と近い体感温度となりますから、快適でかつ設定温度をさらに上げる可能性の少ない省エネ性の高い住まいとなるわけです。この様に、住まいの省エネ性を高め、さらに快適な温熱環境を作り出すには、人が暮らしている空間の構成要素の表面温度を高めてやることが最も重要なポイントであると言えます。これから、壁、床、天井だけの断熱性能をあげても窓の断熱性能を上げなければそのような快適空間が実現しないことがわかりますし、その反対もまったく同様であることがわかります。 従って、現場調査ではこうした観点のチェックを行っていくことが肝要です。即ち放射温度計を使って書く部位の表面温度を計測し、デジタル温湿度計で部屋の温度を求めます。その結果から体感温度を求め、それが室温に比較して大きく異なるならば、快適性を向上するためにどの部位の断熱性を向上させるのかが最も効果的であるのかを判断し、それを施主様に提案します。 例えば、窓の断熱性を向上させることが最も効果的だと判断される場合には、現場で取得したデータや目視で確認した状況から推して最もふさわしい断熱性能を持った窓がどれであるかを検討し、これを先に紹介した「窓診断結果表」で提案いたします。

02

窓の防露性に関する診断

断熱性能の向上と同様に関心が高い防露性に関する現場調査では、以下の様な方法で行います。
まず、デジタル温湿度計を用いて部屋の中央の温湿度を測定しその時の湿度で結露が始まる温度(露点)を同時に確認します。その後窓際に移動し、同じデジタル温湿度計を用いて窓際の温度を確認します。この時の温度が部屋の中央で確認した露点よりも低いかそれに近ければ、窓が結露するかあるいは結露する可能性が高いことになり、右の図に示す、結露がしにくい窓の提案を行うことになります。

03

窓の日射遮蔽性(しゃへいせい)に関する診断

日射が室内へ容赦なく差し込む状況を作ってしまうと、室内の至る所に表面温度の高い部分ができ、これが室内の熱源となってエアコンの効きが悪い住まいとなってしまいます。
昔から一般的に使われてきた庇、オーニングに加えて、緑のカーテンを作る外構商品やブラインド内蔵タイプの複層ガラス、そして日射遮蔽をガラス表面の金属コーティング膜で行うLow-Eガラスなどが登場していきます。

04

窓の遮音に関する診断

一般的に、遮音性能は遮音材である物体の重量に影響を受けます(遮音の質量則)。これを示したのが右の図です。音は音源を中心とする空気の並として周辺へ伝わっていきます。その途中に壁があり、この重量が重いと、音の波はこの壁を動かすだけのエネルギーを持てず、場合によっては元来た方向へ戻っていくことになります(これを音の反射といいます)。ところが音のもつエネルギーでこの壁を動かすことができた場合、壁の反対側には音の波による壁の振動で新たな波が発生します。この現象は音の波が壁を通過した様に見えることから音の透過と呼びます。この音の透過状態が起きた場合の、壁の前後の音の大きさの差を遮音と言います。 この遮音性能が、先に述べました様に、遮音材の重量が重いほど大きくなるわけです。

室内を快適な静けさに保つには、遮音性能の高い材料で空間を構成しなければなりませんが、この目安となるのが「騒音レベルと騒音閑居の目安」です。例えばリビングの静かさを「静かな事務所」に相当するためには、騒音計で測定した騒音レベルを50db(デジベル)程度に抑えなければなりません。ところがリビングの外の騒音レベルが80dbであった場合、この騒音環境にするためには壁、床、天井など+窓全体での遮音性能30db(=80db-50db)が必要となります。部屋の中における騒音レベルは、空間を構成するすべての部材で決定されるのですが、一般的には「住宅の各部位から出入りする熱の割合」に示したのと同様に、窓からの音の出入りが最も大きいとされ、故に窓での遮音性向上を図るには、窓自体の重量増が効果的で、複層ガラスが単板ガラスよりも遮音性能が高くなります。

05

窓の防犯性に関する診断

右の図は警視庁が調査した泥棒の一戸建て住宅の場合の侵入手口を示したグラフですが、これからも、窓からの侵入が多く、その手段としてはガラス破りが最も多いことがわかります。このガラス破りは一般的にハンマーとプラスドライバーなど、先の鋭利なものをクレセント付近のガラスに当てて、ハンマーでその近辺のガラスを砕いていき、開けた穴からクレセントを外して侵入するという方法を採ることが多いようです。従ってこうした泥棒の侵入を抑えるには、侵入に時間がかかるモノあるいはそうした構造、または一見して侵入に手こずりそうだと思わせる精神的な抑止力が必要になってきます。 そうした意味で、クレセント1つの施錠方式より防犯性が高くなるのがツーロック、補助錠付きという開閉方式です。 また、補助錠などによって侵入に時間がかかる防犯対策の他には開口部の寸法をある一定以下とし、身体的に入りにくい状況を一見してわからしめるという方法もあります。 こうした方法以上に効果があるとされているのは2マイのガラスの間に樹脂フィルムを挿入してガラス破りをしにくくかつ時間がかかるようにした「防犯合わせガラス」や、一見して侵入に時間がかかりそうな精神的抑止力を備えた商品群もあります。

こうした数々の防犯商品よりもさらに防犯性が高い商品として登場したのがCPマーク商品です。 これは泥棒が侵入をあきらめる時間である5分間以上侵入に時間がかかる構造、強度を持った商品群です。 これを通称「5分抵抗」と言いますが、警視庁、民間企業の協力の元、様々な商品が開発され認定を受けています。